「夢見る宝石」シオドア・スタージョン作

『ストーリーは、天涯孤独の少年ホーティが、
里親の虐待から逃れ、カーニバルに拾われる。

カーニバルで様々な痛みを抱えた人々に出逢い、
心癒され、成長して行く。

しかし、団長モネートルには謎めいた趣味があった。

地中外生命体のクリスタルと、それらが紡ぐ夢の秘密を
さぐろうと、モネートルは日々動いていた。

夢見る宝石たちと、ホーティの関係。

それを怪しむモネートル。

ある日、ホーティが優しい幼馴染み偶然再開することにより、
カーニバルに恐ろしい運命が立ちはだかっていく。。。』

 
物語全編を流れるカーニバルの世界、煌めくクリスタル、
そして音楽「スターダスト」。

初めて読んだのは高校生の時。その頃の私は勉強している
クラシック音楽と、ラジオから流れるポップスしか知らなくて。

主人公のホーティが歌うジャズの名曲「スターダスト」を
まだ知りませんでした。

後に、CDを購入し、聴いたとき、満点の星空、水晶の繊細な
輝き、ホーティを守った人々の悲しい運命と美しい愛・・・

物語の場面が映像のように、頭に浮かびました。

スタージョン スタージョンの小説では「人間以上」が有名ですが、
私はこの「夢見る宝石」が大好きです。

水晶の夢が世界を作っていくという、荒唐無稽な発想が
スタージョンと永井淳氏の名訳により、実にやわらかく
優しく描かれています。

「人間以上」が硬質なSFであるとすると、「夢見る宝石」は
暖かいファンタジーという表現が当てはまるように思います。


追記

この職業についてから、作中にあったジーの台詞

「ギターならピアノで三年かかる音楽理論を一年足らずで
学べるし、音楽は人間的なことの中でも最も人間的な
ことでしょう・・・・」

という記述が心にいつも残っています。

私は音楽理論を習いましたが、そこからコードネームを独学で
習得したので、その意味がわかるように思います。

生徒さんにアレンジを教える時に、コードネームを取り入れると
すんなり受け入れてくれる部分もあり・・・

その点でも、カーニバルで実際に働くことが夢だった
スタージョンとこの小説には、とても思い入れがあるのです。




「夢見る宝石」 シオドア・スタージョン 永井淳訳
(ハヤカワSF文庫)